■電脳人語(弐)
[初出]広島大学IMD-OB会誌「ちからこぶ」30号 2000/6発行
電子名簿穴埋めコラム、今回のお題は…
『インターネットスピードで』
まずは少しばかり近況から。
約一年半の社外派遣生活から、4月下旬によーやく自社に戻ってきましたよ。やれやれ。
作業慣習が違う世界は、勉強になることも多いけど、派遣者として働くと、
自分なりのペースや仕事のやり方を潰されてしまうことも多い。
どちらが正しいという結論の出る話でもないので、元の自分の世界に戻ることにしました。
てなところで。
先日、ネットでコンピュータ関係のニュースを読んでいたら、コラム欄にこんな言葉がありました。
『インターネットスピードで』
例えば、こんな使い方をするそうで。
「インターネットスピードで意思決定」
基本的には、時流に乗り遅れない判断力がある、といった褒め言葉のようですが、
どうもコラムの文章はそれだけを言っているわけではないようす。
メールのやりとりも、ホームページの更新も、すばやいことが求められ、そのスピードは加速し続けて、
速さだけが意味のある価値判断基準となり、
内容や収穫は空虚に散漫になっていくことへの不安とでもいうか。
ハードウェア・メーカもソフトウェア開発現場もどうどうと流れていく河に乗り入れるだけで、
そこで何を漁るかを考えているのかいないのか。舟に乗って河を流れて行かなければ、
山のもの里のもの海のもの、行く先々のあらゆるものは収穫できはしないのだろうけれど。
速いことに価値はあると思うけれど、遅いこと(ゆったりしたこと)が無意味な訳ではない。
ソフトウェアなんて、そもそも思考を前提(でも体力も大事 (笑) )とする生産品なのだから、
ゆったりした思索の結果のプロダクトだってあっていいはず。でも、この流れ落ちるような、
今のコンピュータ業界で、遅さにも価値を与えるとしたら、どういう方向を狙えばいいのだろう?
自分のホームポジションに戻れて、ともかくも、Windows の呪縛のある世界からは逃れることができたので、
少しだけのんびりと思考する時間を置いてみようかと。
そう言えば、実現すればAT&T以来の規模となるという Microsoft会社2分割案、ホントに実現するのか?
サイト初掲載日:2000/06/19(Mon)
ココログ移植日:2004/11/03